レモン哀歌高村光太郎

柠檬哀歌佚名 译


そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
曾经你那样地等待着柠檬
かなしく白くあかるい死の床で
在悲伤白色明亮死的床笫
私の手からとつた一つのレモンを
从我的手中拿去柠檬
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
你美丽的牙齿嘎嘎地咬起
トパアズいろの香気が立つ
鲜黄色的香气四溢
その数滴の天のものなるレモンの汁は
几滴天赐的柠檬汁
ぱつとあなたの意識を正常にした
顿时让你恢复了神息
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
你青色清澈的眼中泛起恬淡的笑意
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
握住我的手你充满活力生机
あなたの咽喉(のど)に嵐はあるが
虽然你的喉头有一场暴风侵袭
かういふ命の瀬戸ぎはに
但这样的生死关口
智恵子はもとの智恵子となり
智慧子变回原来的智慧子
生涯の愛を一瞬にかたむけた
倾注一生的爱在这一瞬间
それからひと時
然后
昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして
做一次在昔日山颠上的深深呼吸
あなたの機関ははそれなり止まつた
你的机体就此停息
写真の前に挿した桜の花かげに
插在你相片前樱花的阴影里
すずしく光るレモンを今日も置かう
今天也放上发亮的柠檬


1939
1939
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