廃屋3


埃が積もっている布貼りの椅子
床にころがる腕のもげたなんとかマン
記憶になる前の時間を誰かが持ち去った

かすかに硝子窓を鳴らす風に
脅かされるのは心か精神かそれとも魂?
名づけ難いものが多すぎる此処

透明なふたつの人影がキスしている
分断された物語と国境
遠くの海からゆっくり潮が満ちてきて
いつか水浸しになる無数の書類
ぽっかり浮かんでいるビーチボール
はりめぐらされた見えない蜘蛛の巣

どこで暮らしているのだろう 今
此処で生きていた人々
それは私たちかもしれない

アトランティスのように海底に沈む前に
発光する無数のストロボ
鼻先を掠める明日


作者
谷川俊太郎

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